【 Moai in ny Story vol.4 】 計画・・・27坪の二世帯住宅

お聞きした予算から既存建築解体費や杭工事費、それに設計料を考慮し、
建築本体費用に掛けられる予算をあれこれ組み立て悩んでみたところ、
ギリギリの単価を想定しても27坪が限界である事が判明した。


これを割り下回れば『質』を落とさざるを得なくなる分岐ラインは、
これまで経験のない規模での取り組みで在る事を改めて知り、怖くなる。


■計画
通常は計画案の提案までを1ヶ月程度と想定している。
この間に計画は二つの方法で取り組んでいる。
1.合理的で効率的なプランの計画。
2.イメージを創り上げ理想を求める計画。


計画はリビングのように人の集まるスペースを「パブリック」の「公」、
個室を「プライベート」の「私」として公私を考えつつ取り組む。


1は敷地にどう公私を配置すれば建築と敷地が素直に関係できるのかを考える。
特異な方法をとらずに検討すれば配置のパターンは幾つかを発見でき、通常は2、3日で数プランを手に入れられる。
その中から良さそうなものを精度を上げて検証を進めるのだけれど、これは敷地にどのような建築を建てられるのか?
そのシミュレーションであり、この作業を通じて敷地の使い方、建築の規模を様々に把握することが目的となる。


2つ目は、パブリックとプライベートの公私を、敷地での配置構成をより幅広く捉え直し、
この敷地ならこう住まえると良いなーと思うものを優先、想を得る事を目的として取り組む。
これには時間を要し、大抵はスケールアウトなのだけれど、こう在りたいという様をとことん考える。


簡単に言うと、1の作業は机の上で行う。2の作業はお気に入りのカフェで珈琲を頂きながら行う。


序盤の苦闘風景。お店の人は、この人何頭を抱えてるんだろう?と思うのかもしれない。
コストを抑えるには単純な構造で考える必要がある。と言いつつスキップフロアーなのだけれど、
この時は一先ず30坪を目安にしてプランが出来るのかを試みていた。
親世帯の上に子供の部屋だと煩いだろうなーと、公私の配置、諸室のヴォリューム配置が
噛み合ってはいないのだけれど、削ぎ落とせば何とかなるのでは?と思えた案。


クライアントの要望では、水廻りはフルに2セットを強く求められていたのだけれど、
勇気を持って最初からそれを無視していたらしい。最低でも浴室は共用と考え取り組む。
それでも一切の余裕がなく、規模はオーバーだった。


そして、実はこの時は既に、禁手を使えないかと考えていた。