【 Moai in ny Story vol.5 】 計画、方針決まる。


禁手とは言葉のあやですが、思い切った寸法を使う事以外に解決はないと考え至る。
これまで使っていた寸法体系では、どうしても狭く小さい状態から抜け出せずに居た。
27坪で所要を満たせる手応えは得ていたので、あとはどう空間を導くかが問題だった。


間口が2間を切る寸法の採用に踏み切る。


冒険ではあるのだけれど、冒険する甲斐のあるものだった。
敷地は東西に長く、建築が太ると西と東にしか空きが出来ない。
西側は隣地で肯定し難く、東側は道路面で否定はしないが肯定も出来ない。
南側は、あまり綺麗ではないものの人の住まない建築がある。
建築が細ければ、南側に使える「引き」のあるスペースが確保できる。
確保できると、公私の配置に自由度が生まれ、上下のヴォリュームも整える事が出来る。
しかも、長い。
この長さを空間に反映させ、活かす事が出来れば狭小さは解消できるはず!と考えた。


ちなみにスケッチブックで温めていたプランを、構造も踏まえて初めて絵にしたのが、
一枚目のもの。この時はまだ構造の整合性も拙いですが。
次のスケッチは断面を描いたもの、イメージも出来ていた。

何とか変化を持ち込み、長さを活かすべくスキップフロアーを考えていた。
この案はまだ27坪に収まらず、ドマの採用にも含みを残している。



これも珈琲を頂きながら、人前で一気に集中して仕留めた案なのだけれど、
彼是既に10年以上も定着しているスタイルでもあり、今も継続している。
この気力集中で得た、想を絵にする作業は後に実現した時に強く感じるのだけれど、
揺るがずに具現に突き進む時ほど、的確である不思議がある。