【 Moai in ny Story vol.14 】 実施設計の要

実施設計の際に最も集中するのが矩計図だ。矩計図とは詳細な断面図と言えるだろうか。
空間はこの図面で決まる。矩計図のかっこ良い建築は実際、空間はかっこ良い。
嘘や希望では描けない素直な図面は、微細にな調整で印象がガラリと変わる事もある。
基礎から軸組、梁等の構造までも網羅し、実現可能な建築の骨格、立体が見えてくる。
この図面は気に入るまで何度でも描き直す。貼った図目は製作序盤での一枚。


契約時には結局、4枚を仕上た。描き過ぎかもしれないけれど、あるととても安心。
取り掛かると時間無制限の勝負に成りがちな、設計の要となる矩計図。


もちろん平面詳細図も懸命に。「伏図」と言う構造図を並べて検討をしている。
構造はコストにも直結するだけに、簡明な基礎、簡単な軸組架構による、
よりシンプルな構造を考え、平面と合致するバランスを探す、若しくは創る。


貼った図面は何れも決定案ではなく、まだ荒々しさの残る収斂過程でのもの。
小さな建築は本当に余裕がなく、どこか少し大きくすれば他が大きく減ってしまう敏感さ、
設計する者には逃げ場がなく正に背水、これしかない!という図面を求め悪戦苦闘し過ごす。




再計画からスタートし、ここまで到達するのに結構な時間を費やしてしまった。
クライアントには申し訳なかったのだけれど、私のペースで仕事をさせて頂いた。
貼った図面はどちらも打ち合せ図面、2015年の12月初めの打ち合せの時のもの。

図面を案内しつつ、説明や要望のあれこれを描き込みをし、これを持ち帰り検討し、
修正し、実施図面の完成を目指す。