原点確認 その2

公開してしまうとこれは、私の好きな桂の木。
過去、初めて好きになった桂はもういない。
でも、いつだか出会ったこの木は今も健在。
きっと、私より遥かに長く在るに違いない。


久しぶりに訪ねたこの日は、燃えるようだった。
まだ葉は青く、上を見上げると周囲の木々と共に
空を覆い、漏れ見える傾きかけた陽射しが、
樹幹の下に陰影を作り出し・・・
文豪になったつもりで書くのは限界か。
つまり、何というか、素晴らしい光景であった。


森の中の「燃える」光景、その熱さ。





訪ねたのはチミケップ湖。私の好きな場所だ。
夜も昼も、四季いつでも、訪ねては感激する。


この緑の原っぱ、実は今はメンテナンスされている。
週に3回?土曜日は終日、ある方がここに居られる。
津別町からの委託なのだそうだけれど、シーズン中、
一人でここに来ては世話をされている。
どうりで、トイレは綺麗だし水場は清潔。
倒木の処理もきっちり、この日は草刈最中であった。


業務でと言うよりも、好きで愛でられているかのよう。
この自然の中の光景に手を入れるのは、実は難しい。
手が入り過ぎれば人工を感じ自然が失われる。
足りなければ直ぐに野性、人知は朽ちてしまう。


この岸はやや綺麗過ぎる気もするけれど、
いい加減なのだ。草薮との境界は適当、
管理しきるわけでなく、本当に良い具合だ。
業務ノルマで出来る範囲ではなく、
この方の思いがある。
もうご高齢のはず、いつまでも元気であった欲しい。


本当は、津別町はこの方に一台スマホを持たせ、
業務に一つ付け加えるべきだ。
朝と帰り際、一枚写真を撮りネットにUPする。
スマホなら簡単な操作で出来るだろうし、
後は役場の誰かが持ちまわりで朝一番に一言を
書き添えるなら、今を伝える生きた情報になろう。
と、いいアイディアを思いついたぞ。


岸、今時期は水がすくないから見える範囲が広い。
教えて頂いた事実が一つある。
その狭い岸のあちこちにガラス片が落ちている。
なぜ、ここにガラス片が?しかもどれも磨かれていて、
角は既に落ちている。つまり、古い。
キャンプに来たものが捨てたゴミとも違う。


聞けば、昔は木を切り出していたのだそうだ。
戦時中か以前なのか、需要はあり、森で木を切る。
町内でそのような場所があちこちにあって、
場所によっては劇場や遊郭まである地域もあった。
チミケップもそういう切り出し場だったらしい。
おそらく当時は、手付かずの原生林が多数、
勿体の無い無残な切り出しがされたのだろう。
そういう時代を、ここも経験していたと知る。
その当時の人が飲んだ一升瓶なんかを湖畔に捨て、
割れ、風雨に晒され、波に洗われ、今見つかる。


その頃に作られた道があるので、今私こうして
ここを訪ねる事が出来るのだけれど、感じる空気、
なるほど謎が一つ解けた思い。
落ちているガラス片一つが語る歴史。
それを教えてくれる方のある風景、
彼が手を入れ守る「自然」の在る風景。
昔から知る、今も時々通う、好きな場所。