全力。


「次はトマム」と電工表示されてからが長い。
いつまでもトマムには着かず山間を走る列車、
今日の車窓は終始、深くはないものの白色で、
その山間では降る雪は増し薄暗い。
繰り返えされる山と木の風景は同じに見え、
雪だけが流れていた。車内は暖かく眠いはず
なのに眠れない、つかの間の休息の時間かな。


キッチンを含め家具を検討していた。
コストが厳しい今、出来る限りシンプルに、
手数を掛けずに納められる方法を練っていた。
必要に応じて実寸を含めスケッチを描き悩み、
これで行こう、と決心できたのは既に朝、
出立の直前と行っても良い。


始発の電車に乗り込んでから建具関係の施工図を
チェックし始め、余計を省く術を探しつつ。
今日も長時間となるだろう定例を思うと、
車で行けば帰ってくる気力を残せそうな気もせず、
その体力も不安な程に全力だった事もあり、
寝ないと効率は落ちて仕事は進まないのだけれど、
午前10時に現場打合せスタート。
工事も終盤に差し掛かり、外装の仕上工事は佳境、
内装も準備が進む。様々な工種の職人が数多く、
見慣れた大工さんを見失えるくらいに増えている。
現場代理人も、各工事の担当者も職人や関わる
別工事の職人から要望が突き上げられていて、
流石に誰しもが余裕を失っていて、殺伐とはせず
とも殺気立つ空気はある。幾人もで取り組む
規模ではないものの、一人で抱えるには巨大だ。
現場を隅々まで見て歩けばそれで半日はなくなる。
早々に見ると見落とす部分も出て来る。
互いに要所を押さえつつ、優先順位を見極めて
事を解決して行き、難題には皆で相談しつつ、
笑みよりは仕事を消化出来ている実感が強くあり、
伴い、まだまだ果たさなければならない仕事も
明らかとなって行き、なかなか果てしない。


現場打合せを終えたのは午後8時、食欲も眠気も
出て来ないくらいにエネルギーを消費し切った。
JRで良かった。
きっとトマム近辺の道は滑るんだろうな。