本願時展の影像

予想通り賑わう展覧会に何とかこっそり行くことが出来た。
素養の乏しい自分は思いの他多くを学び有意義であった。


改めて眺める日本の絵図、建築の表現がとても面白い。鳥の目線で俯瞰
する街並は奥行き感なく屋根はあちこちを向き、描きたいものが描かれる。
現実には在り得ない構成なのに違和感はなく、どこに在っても同じ大きさで
描かれる人物が画面全体から活き活きと賑わいを伝えてくる。完成された
空間表現の妙を実感させられた。


愉快なのは地図だろうか。通りから見た俯瞰景がそのまま描かれる。建物
も木々もバラバラを向いて立ち並ぶ様はgoogleのストリートヴューで四方を
向く感覚に似るのだけれど、これを一枚の絵に完成させてしまう見事さだ。

 


掛軸は見応えがあった。素材、模様、組合せが照明に浮かび豊かな表情を
見せる。構図はどのように意図されるのだろう?生地にしろ紙にしろ何らかの
規格はあるだろうにA1サイズ、B1サイズのような定尺寸法はなく、掛軸毎に
様々な形が作られていた様にみえる。素材や色の組合わせとは?着物合せ
の楽しさだっただろうか。センスは様々に到達し、知的な楽しみを感じさせる。


中にはレタリング調のポスター!という具合のものも見られた。この日は
特に「光明本尊」(南北朝時代14C)が最も奇抜に見えた。昭和初期又は
ドイツ表現派の光加減のような具合、その斬新さに驚く。



今回の自分のお気に入りは並べられた7枚の影像。
〔影像:絵や彫刻に表した、人や神仏の姿。えすがた。肖像。〕

     [:W210]

藍で染められた布の上に白抜きで描かれる地味な茶の背景、在るのは畳。
描かれるのは如信覚如、善如、綽如、巧如、存如蓮如の影像。構図、
人物のポーズは全て同じでありまるで間違い探し?の様相。袈裟の多少の
違いよりも、畳の縁だけが特におしゃれに異なっていた。