沈(チン)!? ・ ・ ・ 支笏湖でカヌー。


【bookshelf】のオーナーF氏にカヌーに誘われ、支笏湖に行く。
早朝の支笏湖は抜群に美しい。秋の空は高く澄み渡る。
前日の風雨が嘘のような穏やかさ。樽前山のシルエットも優しい。








         

湖に到着した頃に「積み込みに手間取り、遅れます。」と連絡が入る。
そこで、珈琲を飲みながら湖を眺めることにした。贅沢で格別な一杯だった。









カヌーに乗られるようなアウトドア派の人達の行動は驚くほど迅速だ。
到着するやあっという間に設営(テントではないが)が始まり準備が整う。
気が付くと既に気持ちよさそうに湖上に浮かんでいる人すらいる。


この日は総勢7名、カヌーは写真の他に更にもう一艇が加わる。








穏やかな日差しに誘われるように、朝から多くのカヌーが浮かぶ支笏湖
その湖上は思いの他静か、カヌーを並べて漂いながら会話を楽しむことも出来る。
月に一度は乗るという見知らぬカヌー乗りに訪ねると「今日は素晴らしい」と。




朝の潤いのある空気が遠くを霞め、湖と山の境を消し去り、雲は白い空の模様のようだ。
「どこへ向かう?」と尋ねたくなるほどの不思議な光景の中へと漕ぎ出す。
これ以上のない透明さ、余計なもののない空間、それはまるで別世界だった。















■ 沈(チン)!?


漕ぐのに夢中になり左に寄っていたらしく、「真ん中に寄りましょう。」と後ろから声が掛かる。
F氏は右に寄りバランスを計っていたらしい。スッとお尻を真ん中に移すと、どうやら2人が
船の右に偏り、それまで穏やかな湖面で安定していたカヌーが突然、右に大きく傾く。




45度程は傾いたのだろうか。湖上でカヌーがあれほど傾くとは大事件だ。
 ・ ・ ・ ん!? 足元にあるのは紛れもない水だ。 ・ ・ ・ ナゼ水ガ?
傾いた際にカヌーの側壁が水面下となったらしく、一気に浸水したらしい。




入った水が船底に溜まる。浅く見えて実はかなりの量、相当な重量らしい。しかも揺れ動く錘の状態。
自分の一挙手一同に反応して揺れが加速され、傾きが増長する。何?この不安定さ、イヤ、ナイナイ。
頭に水の入った鉢を載せられたような突然の緊張感 ・ ・ ・  ウゴケナイ!! ・ ・ ・




プラスチックのボトルが足元に転がっていた。後ろからの声は、どうやらそのボトルを使っての
排水を求めている。ボトルでどうやって水をすくうのか「?」であった。キャップをはずして
溜まった水に沈めてもボトル口には浅い。悪戦苦闘の末、そのボトルは下面が切り取られた器に
なっていることに気が付く。溜まった水をその器を使い、硬直しつつも排水活動に取り掛かる。






そういえば・・・途中の入江に上陸して休憩した際に「沈(チン)」の話を余裕で聞いていたな・・・。
「行くときは簡単にチンします!」と。まさか身をもって10月の湖で体験するのかと覚悟する。






幸い、岸は近くに見える。波は穏やかで水は温い。チンしても辿りつけそうな気はする。
とんだことになったな ・ ・ ・色んなことが頭を走馬する中、バランスを崩さぬよう硬直しつつ、
排水を続ける。どれだけ、ひたすら小さなボトルで排水を繰り返したらだろう。


気付くと船底には水は僅か、なんとか事なきを得ていた。カメラや携帯は無事、お尻が濡れただけよ。





F氏は笑ってましたが、驚きましたね。チンせず良かったー。





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