瑠璃


昆虫が好きなのだけれど、特にトンボは好きだ。
ヤンマになんか出会えば興奮が納まらなくなる。


写真はオオルリボシヤンマのメス。
このトンボはオニヤンマほどに大きい。
湿地を好み、両者は棲み分けが出来ている。


産卵場所を選び探しホバリング中、の一枚です。
蚊を捕らえるらしい逞しい脚を綺麗に折りたたみ、
羽だけが高速で、しかも器用に動いている。


飛翔ポジションの力強い美しさがヤンマの類の
最大の特徴であるように思う。





産卵に懸命であるこの時期、警戒心がとても乏しい。
構えた網横を通り抜けるし、直ぐ目の前で産卵を始める。
大きな体に似合わぬ、実に丁寧な様。





産卵中は避け、飛び上がった時に失礼して網を出す。
そして一時、観察をさせて頂く。
筋肉の塊のような無駄のない体と巨大な目。


全身を被う短い毛、これは体を綺麗に保つための
重要な装置なのだろう。実に清潔な生き物。
野山に住んでも泥だらけの昆虫など観た事がない。




このトンボ、湖岸の藪でガサガサと音を立てたりする。
産卵期には羽を痛める事を恐れず、藪の中に潜り込み、
巨体に任せて強引に飛び回り、産卵するようだ。


使い込まれた羽。藪の中で蜘蛛の巣を引っ掛けたの
だろうか?糸が絡まり、傷だらけになっている。


改めて気が付いたのだけれど、オレンジが使われていた。
ルリボシヤンマのオスは綺麗な瑠璃が体に使われている。
羽にはアクセントに、羽前にライン状にオレンジが入る。


こういう色をどうして選択できたのだろう?
センスに頼らず、必然の選択としてこの色とは恐れ入る。




昨年の写真から、オスのオオルリボシヤンマを一枚。
子供の頃から瑠璃が強く印象に残る。
このトンボは、そんな印象をつくる生き物の一つです。