照明器具

これはマンション・デザインの事例なのだけれど、
照明器具について悩んでみようかと思い立つ。
マンションのエントランスホールはハレの間、
ある程度のコストを掛ける事が出来た事例。
・・・案外、空間は大きくはないのだけれど。



二つの在るエントランスホールのうち大きな方。
カーテンウォールのあるスッキリとした大空間。


意匠性のある照明器具は限られ、このような
大空間に栄える器具は殆ど見られない。そこで、
当初は製作を考えた。けれどコストが合わない。
悩みに悩み、探しに探し・・・やっと見つけた。
「あと幾つ在庫がありますが納品は何時?」と、
メーカーから不安ながらに連絡があったかな。
受注後の製作ではないものの、受注を見込んで
製作しているらしく、何と言うかほぼ受注品。


大きな空間を満たすため、ここでは照明に委ねた。
カーテンウォール越しに外からも眺められ、
ホールに相応しい大きな明かりを手に入れられた。


もう一つのホールはやや小ぶり、住宅的スケール。
背の高い空間には縦のヴォリュームのある照明を
選んだ。



採光の光と同じく、照明にも種類がある。
照度を担う器具、明るさ感を担う器具、
空間の光のヴォリュームを作る器具・・・
照度は天井に組み込まれたダウンライトが担う。
ダウンライトは必要に応じて様々がある。
明るさ感は壁設置のブラケット照明や、
家具に組み込んだ間接照明が担っている。
ダウンライトの光は直上である事もあり、
見上げなければ気付かず、ただ手元が明るい。
見た目の明るさは、照明に照らされた明るさ、
ここではブラケットに照らされた壁面や、
間接照明が担っている。
そして、縦のペンダント照明が空間に
ヴォリュームのある光を与えている。


このような大きな空間では、小さな照明を
多灯する方法が特に好みではあるのだけれど、
器具数の増加はコストにも直結し、現実には
なかなか採用に至れないな。


これは本当に綺麗な照明空間を創る事が出来。
出来が良過ぎてCGの様な写真が撮れてしまい、
むしろ、どこか嘘くさい写真なのだけれど、
実際は本当に、
満ち足りた感すらある綺麗さです。



それなりにコストを掛ける事が出来た事例、
ではあるけれど、ギリギリの中で取組んだもの。
石を使う事が出来ているものの、床はタイルを
ボーダー加工して用いたり、苦労をしている。
中でも気に入っているのは壁、塗り壁仕上げ。
コストの掛かる手間を要する仕上げとしていて、
選定した仕上げは職人の個人差が生じると判明、
結局、一人の職人に全てを委ねる贅沢さだった。



壁面を照らすブラケット照明、天井その他を
照らす間接照明・・・それらは照らされる部位が
照明器具の一部となるので、受照面の美しさが
欠かせない。これがクロスの壁だと悩ましくなる。


使ったブラケット照明、これは非常に高価なもの。
消灯時でも鑑賞に堪える器具を選定できた。
いつもこれと思い、しかし最初に減額対象となり、
それが初めて使えたのだけれど、選んで良かった。


照明器具は消灯時の違和感も考慮する必要がある。
灯らない照明ほど悲しいものはない。
コストの掛けられない時は・・・
消灯時には建築の一部となり気配のないものを
選ぶようにしている。


雑談でした。

光、大きさ、質感・・・その8

『石』高価である故になかなか使う機会は無い。
質感は高く、なるほどと思う重厚さ、探せば、
様々な表情の石に出会える。


表面仕上げには一般に本磨仕上、バーナー仕上が
あるだろうか。時に、叩いて仕上る事も出来る。
ノミ切り仕上げ、これは又は荒ビシャン仕上げ。


ある建築の外装を石と決めた。そこで様々な石を
集めてみる。描いたイメージに合致する石が
なかなか見つからない。そこで思いついたのが、
叩いて仕上ること。
叩くと石は割れるので、十分な厚さが必要になる。
予算には限りがあるので、厚い石材の手に入る
ものから選び出す。選んだのは比較的安価な、
変哲の無い御影石。これを二種類の叩き方で
サンプルを用意し、オーナーと相談した。


サンプルを外に持ち出し、陽を翳し、日陰に置いて
その表情を確認する。濃色の石の方が良いかと
思っていたのだけれど、叩くと明るい石質が出て、
案外白ける。少し明るい方の石は、叩いた分だけ
深みを増していた。その後も様々に眺めて悩み、
ついに決定する。


その石を使った建築、外観。同材を本磨仕上げと
したもの、他種の3種を外壁には組み合わせる。


見積もり段階で消えてしまうのではと恐れていた
ものの、どうにか削除されずに残り、採用できた。
個人的な好みではあるけれど、高価さよりも、
人の手の跡が残る材の方が好きである。
労はそのまま表情となり、高い質感を作り出す。
2階建て高さのエントランス、重厚でありながら、
雁行する構成を軽快に見せたいと考えた。




石は60mmの厚さ。小口は見えないものの実際に
見るとその厚みが実感できる。素材は軽薄さも
滲むもの、安易な取り組みは写真では良く見せる
事が出来ても実際は軽薄であることが少なくない。




とある事例、シート張りの木質パネルを使う。
石、タイル、塗壁の中、ポイントとなるパネル。
これが貼ったものに見えてしまうと残念であった。


芸術的な仕上げを要求する事は不可能なので、
施工者が確実に出来るもので、粗の見えない
製作方法を様々、現場にて検討した成果。
目地、目地棒、端部のステンレス板との組合せ。


安価な既製品ではどうにも出来ないのだけれど、
安価な素材や材料は面白くもある。コストを
下げる選択肢、けれど掛かる労は果てしなく。
ローコスト建築が難しい所以。


石の後にローコストのお話、支離滅裂だろうか。
質を求める方法にも様々がある。どんな建築に
しようか?施主と打ち合わせる中でイメージを
温め、適材適所を選び出し、見積もりに組み込み、
現場であれこれ悩み検討し、実現となる。
出来上がった姿が納得のものであるように。


買ってきて組み上げるだけの既製品ではないので、
どれも人が実際に造っている。建築一つ一つに
その過程はあり、その成果が期待される。
少しでも労を知って頂けると、職人等は笑顔も
見せず、「俺にできないとでも?出来て当然。」と
いう顔をして喜んでいたりする。



上写真の事例はこのように仕立てられました。

撮影 その3


<エントランス正面、館名板前から望む>

<エントランス車寄せからの眺め>


外観及びエントランス全体のデザイン。
エントランスの外壁には石を使っている。
御影石なのだけれど、叩き仕上げたもの。
一般には磨くかバーナー仕上となる石、
叩くという一手間を掛けたものは表情が違う。
加えて使う材料が厚くなることから、
その構造は厳重なものとなっている。
※石については以前に書いております。


流石に外観の写真はきちっと現像しなければ、
露出が合わない様子、何れ綺麗なものを貼りたい。 

撮影 その2


本当はRAWで撮影しているので、現像してからと
思うものの、JPEGで出てくる絵が既に綺麗だ。
マンション、もう一つのホールの竣工写真。
照明は実に計算どおりに上手く施すことが出来た。


2年に及ぶ仕事、手間暇を相当に費やした成果。
語りだすと止まらなくなるだろう。
ただ、興奮のある内に記しておかなければ、
まとめる機会も得られないかもしれないと、
思うので、夜な夜な書き出すのではと思う。


一つの建築、空間を得るには様々なことを
想像し、創造する。具現にするための業とは、
全く楽ではない。


住宅のように、人が住み始めてからが本番、
設計はその器の創造と出来る業もあれば、
今回の仕事のように引渡し時に出来上がって
いる必要のあるものもある。


使った全ての素材の吟味、どう納めるかの工夫、
照明や家具の選定、それらのバランスを計る。





本日、帯広から戻る。週末はASJ帯広のイベントに
参加していました。案内も書かずの報告ですが、
まとめたいと思いつつ、なかなかまとまらず、
ふと、一枚写真をブログに貼り・・・
流石に疲れたらしく、今日はもう寝ます。

撮影

デザイナーとして携わっていたマンション、
まもなく引渡しとなる。昨晩、撮影。


二つあるホールの中の一つ。実はそれほど
大きくなく、住宅的なスケールの空間です。


このようなインテリアに取組むのは初めて、
ではあるけれど、綺麗に出来ました。

来春竣工。


札幌市内はファクトリー横、永山公園向えに建築中の
マンションのデザインを始めたのは2013年4月だった。
考え始めてから2年の月日を費やす仕事となっている。


クリスマスに前後して外部足場が外され、伴い外構の
工事が進められている。本工事は最上階がその最中。
来春に竣工予定のマンション・デザインの現場


デザイン案件なので、建築本体への関与を最小、故に、
どこまで出来るのか?その可能性に取組んでいる。


昨日、別件でディベロッパーと打合せた際に、竣工前
検査での評価を聞く機会があった。現担当者からは
概ね良好な言葉を頂く。


エントランス部分で見ると、自分のこれまでの設計の
経験では最高額になるだろう単価を費やすデザイン。
としても自由に出来たわけではなく、創意工夫の範囲が
大きいという感覚が残る。


ふんだんに使った石材、叩いて仕上た風合いの優れる石
までを使う高価な建築、その組み合わせの細部まで考え、
実用、効果、メンテナンスまでも踏まえ取り組み、
ゼネコンの現場監督とは友達の如く連絡を交わしながら、
本当に細部まで気を配る事が出来たと思う。


その苦労話はこれまでも少し、触れてブログに書いて
いるけれど、何れまた改めて書いてみたい。なにせ、
そうだったの?という暴露話の類もあり、現場で実際を
共有した方々とでしか、話せない事なのかもしれない。



写真はボーダー加工をした床タイル材。高価な材料なら、
労せずに質感、デザイン性を求める事ができる。それが
難しい現場では、安価な材料をどう工夫するのかがカギ。
質感を得るには工夫が欠かせない。その為に必要な手間、
この費用を得ることの出来た現場。このボーダータイル、
そんな労の、多くの方の協力あればこその一材料。




今日、現場を訪ねて具合を観察してきた。日頃の設計では、
むしろ質素、何事もないかのように自然と佇む光景を好む、
そんな設計をしている自分が、豪華に見えるデザインを
果たしたことを知る。しかも、きっちりとした様であった。


正直、大変な手間を要した仕事、けれど成果と経験、得た
知識を思うと、この案件を担当する機会を作って下さった
ディベロッパーの前任者に、改めて感謝を伝いえたい。


写真は足場解体はじめ時のエントランス内観です。

照明器具

しばらく、ご無沙汰してしまったブログ、
忙しく、悩むことも多く、書けずにいた。


常にどれか、抱えた物件は日々動いている。
落ち着いて書く事も難しく、一度止まると、
止まっている事に慣れもする。


ではあるけれど、話したい事はたくさんあり、
書いておくことで整理も出来る。出来るだけ、
書いておこう。





市内では一等地?的な場所に建築中のマンション、
デザインの現場は着々と進んでいる。


今はエントランスホールの全容が現れていて、
それは壮観、ここまで辿りついたかという想い、
同時に、もう一歩の踏ん張ならなければとも。


写真はまだ足場のあった時の、照明器具です。
この器具は選定から大いに悩んだ一品だった。


吹き抜けの大きな空間となるエントランスホール、
見合う十分な器具が、なかなか見つからなかった。
一時は製作も考えたのだけれど、あまりに高価、
国外製品はより高価でもあり、見つけた国産品の
一つに的を絞り、耐えうるだけのものかどうか、
メーカーの担当者と協議した数、幾度だろうか。


そうそう出荷する製品ではなく、在庫も含めて
その後、何度もやりとりをしつつ、納められる。


とても綺麗な製品です。選んで良かったと思う程。
今は足場が取れ、4灯が灯っています。