着々と。 【 DOMA / yamanote 】

軒先は既に完成している。まだ養生シートに包まれているけれど、
今手中に足場は取り外さ、いよいよガルバリウム鋼板立平葺の
外観が見られそうだ。空の青さと相まって凛々しく緊張する。


       
 
玄関ドアが現場に搬入されていた。木製の断熱ドアは製作品だ。
まだ未塗装のまま。レバーハンドルは南部鉄の製品を選んでいる。


       

気になっていた土間の正面、上部の窓はボードが貼られたことも
あり光の加減が見えてきた。時間は1時半頃、シートがかかって
いるので都合よく反射しているけれど、よい具合ではないだろうか。
眺望も換気の役割もなく室内に明るさ感をもたらすためだけの窓。


窓は大きれば明るい、という安易なことなら苦労はない。悩んだ
成果は得られるだろうか?この光を得て見えてくるのはテクスチャー。
ここは珪藻土が塗られる。良い表情が期待したい。



電気は既に配線を終え、器具の搬入を待つ。仕上げ工事の後に
取り付ける。設備工事は未だ床暖房の配管、機器の設置はこれ
からだ。夏以降に本格化した工事、引渡しは今月中となる。寒暖
の厳しさのない季節の工事は過ごしやすく空も綺麗で気持ちが良い。


       

クライアントから届いた「塗ったぞ!」という気迫の写真を一枚。




※工事中の風景、連絡頂ければご案内致します。
 e-mail:tanabe@e-tac.jp

本日の現場は。 【 DOMA / yamanote 】

      

現場に着いたのは4時過ぎ、まだ夕陽の残る空の明るい時刻だった。
この日は塀に使う木材の塗装が行われていた。クライアントのO氏
ご夫妻がご自身で塗られる!! 厳しい見積もり調整の際に提案
したのがセルフ塗装。つまり、自分で塗る。ウレタンなどの塗装は難し
いけれど木に塗るステイン系なら基本的に誰にでもできる。木塗装の
寿命は長くはなく数年後に塗り直すメンテナンスが欠かせない。その
意味でも経験しておくことには意味がある。手入を欠かさなければ
末永く使える塀のためにも。大変、お疲れ様です。


自分で手間を掛けることの出来る人、またそうではない人もある。
O氏ご夫妻は、とても楽しまれている様子であった。ヨカッタ。


大工さんとも親しくなっている様子、大工さんは素人が邪魔くさい!
という風ではなく面白がっているようにも見える。管理してくれている
I 氏も手厚く、なんだかとても優しい。基本的に建築現場は楽しい。
もちろん予算や工期、何より安全に厳しい現実もあるのだけれど、
”参加”できる機会があるなら貴重な体験になるに違いない。


更にO邸は内部の珪藻土塗壁も一部を施主塗装としている。誰で
も塗れるのだけれど、塗る人の個性が出て面白い。ただ慣れやそこ
そこのテクニックは要するし、何より仕上がりの表情が問われる。


自分はこれまで案外あれこれ塗っている。塗装はもちろん。珪藻土
他にも漆喰やコンパウンドなどにも挑戦したことがある。施工は10月
中頃の予定。これは参加させて頂く。楽しみなのだけれど緊張するな。


結局、家は住まう人が手入れが欠かせない。その作業は楽しむことも
出来る。自分で手を加えたとなれば愛着も感じるのだろうなと思う。
塀に使う材料は、そう多くはない。根詰めて必死にならなければなら
ない量ではなく、程良く楽しめたのではないかとも思う。秋空の気候も
丁度良く、本日は暗くなるまで励んでおられた。




現場ではI氏とあれこれ打合せをして過ごす。出来る人とはいっても造り
手である。意見の分かれることは少なくはない。各部の調整を済ませ
躯体工事に目処が立つ。


あんなに暑かったのに、日が暮れるのは早く夕方は寒さも感じる。けれど、
未だ蚊がいる。不思議な季節感の穏やかな日だった。

小窓 【 DOMA / yamanote 】

O邸はローコスト住宅と呼ばれる。しかし、一般的な既製品で造る住宅よりも
ずっと高価な家である。大手ハウスメーカーの住宅も既製品で造られるけれど、
高価なのはブランド料が上乗せされているのだろうか。(余計な発言です。)


断熱仕様はフラット35で言うところの省エネ基準の仕様に準じている。仕上は
キッチンは製作、浴室は造作、床は無垢材のフローリング、建具は製作、壁は
塗り壁と仕様は高い。必要なものを適切に設えることを心がけ設計をしている。



     

スケッチはトイレの明り取り窓のディテール、アイディア段階の一連を並べている。
決定案はより簡素なものに落ち着きそうだ。材料及び手間のコストと施工性を
考慮し検討する。・ ・ ・サラッと窓があれば良い。だが、実はそれが最も難しい。


トイレは小さな空間なので閉鎖的にはしたくない。また落着きある空間であって
欲しい。居心地の良いプライベートな場所、光が要となるだろう。取り込むのは
吹抜けの土間に入り何度も屈折し柔らかくなった光。ほの明るく尖らずに隅を
ぼかすように包み込むようにデザインを試みている。


     

例えばこの写真のような具合。これはDOMAの洗面所の小窓。曇天の雪の朝。
何度も屈折し方向性をなくした光が入り込む。窓廻りの影の付き方を見るとよく
分かるのでないだろうか。晴天の夏の昼間でも終日変わりなく穏やかに光が入り
込む。照明を灯さずともヤンワリと顔を影なく照らしてくれる。これが直射日光なら、
コントラストが強すぎ鋭い影の陰影の空間となり緊張に包まれてしまうだろう。




このような”設計意図”を現場にて明快に示すことは重要であり、またこれを
理解してくれる工事を担当者があることも欠かすことができない。多くの場合、
この小窓の例ならば”光”ではなく”窓”を目的と取り違えて繊細な光の表現は
既製品的な無粋な納まりの前に崩れてしまうことだろう。楽観的に希望しても
”監理”なくしては不可能なことだろう。


監理と管理とは異なる。設計監理という業務はなかなか理解はされていないと
時々実感させられる。求める要求が高くなると必然的に伝えるべき事柄も多く
なる。実施図面レベルではこのスケッチのような1分の1スケールでの思考には
及ばない。監理者と管理者があり、現場の職人があり、予算と時間の内にて
クライアントに提供すべく質を問う。家であれば良いのか、良い家を求めるのか。
その違いはそのようなあまり見えては来ない仕事の中に隠されているかもしれない。



O邸の現場を管理する I 氏は言わずとも気が付いてくれるの人なのでで問題
意識を共有することができる。この意味では本当に助かるし、何より楽しい。
どうせ言っても無理だから、などという投げやりな逃げ場は残されてはいない。
意図を明瞭にしても実現不可能なことを求めては意味がない。と、言うことも
ありサラっとあって欲しい小窓でも、夜な夜な苦戦しつつ楽しくもある。

スケッチ 【 DOMA / yamanote 】

スケッチはとても好きだ。描いていると理解が深まる。O邸の玄関
廻りに取り組む。ちょうど表札をどうするか?打合せてたこともあり。
何が欲しいのか?絵があると伝わり易い。そんなスケッチが玄関に
貼ってあったとクライアントより写真を頂く。(O氏に頂いた写真)


描いたからと言ってその通り出来るわけではない。技術、時間、
予算の中で出来る方法を模索する。現場は信頼する I 氏が
管理してくれている。彼は判断と行動が速く、しかも抜かりがない。
出来すぎる人なので先んじてスケッチは渡しておく方がよい。この
表札は板金でパネルを作るように考えた。全体のバランスを考え
スッキリと納まり、しかも価格を押さえたデザインが見つかった。
コストと手間の面で何度も難しいと告げられたのだけれど、ここの
板金職人は腕が良い。彼ならと見込んでデザインを試みる。

O邸 現場打合せ 【 DOMA / yamanote 】

O邸は既に屋根工事を終えている。先日、記事にした部分は
とても薄く仕上がっている。この後、通気欠き込みを施した
胴縁を取り付け加断熱を施し、板金立平葺の外壁が仕上られる。


週末は現場にて打合せだった。9:30から始まった打合せを
終えたのは1時過ぎだろうか。建物はシートで覆われている。


        

内部はまだ間柱と合板なのだけれど序々にその姿を見せ初めて
いる。これは吹抜けの土間、その正面頂上にある窓。この窓は
接する壁と天井を照らす。暗がりとなる隅をなくし、明るさ感を
与え、奥行き感をつくる。健やかな空間を創る上で要の窓となる。
模型を眺め、何枚もスケッチを起こし、パースも作った効果を
期待する窓の一つのだ。


        

この日は照明器具の他、コンセント位置を打合せ、暖房について
案内し換気はその位置などを確認。最近悩まされるのはテレビや
LAN関係だろうか。以前のようにテレビとビデオ類がセットで
配置される場合と違い選択肢は多い。着工後に変更した幾つかの
内容を確認し仕上げについても打合せる。


写真は現場に搬入された無垢のフローリング材。12cm幅のナラ材だ。
節のあるタイプなので若干は安価。幅広のフローリングは重厚感が
ある。節のあるナラ材とは実は表情があり好みでもある。特に現し
の柱や土間の仕上げを考えると実に具合が良い。

O邸  ヴォリュームが見えてきた! 【 DOMA / yamanote 】


柱、梁が立ち上がり、構造体だけのスレンダーだった姿は
外壁の構造用合板が張られると一転してヴォリューム感が
出てきて、その ”大きさ”が見えてくる。


大きさの感覚は相対的なもの。隣の家と比べて小さいなど。
可愛らしく見えると期待している。それに実はとても長い。
小さく見えれば見えるほど、中は広く広く見えるデザイン。
玄関から伸びる吹抜けの土間は全長14m弱。実際、長い。


モノには適切な大きさがあるのだと思う。住まう家の場合、
大きければ豪華に見えるかもしれない。けれど人の大きさは
変わらないので大きすぎると疎外感を感じたり空虚に見え
たり、間延びして退屈に見えるかもしれない。緊張感を保ち
つつ引き締まった大きさを探すことは設計においては特に
難しい課題の一つ、光と同様にとても難しい。


模型を使い、想像を加え検討している。リアルな大きさは
なかなか得がたいのだけれど、O邸は果たして。楽しみ。




O邸の現場見学、相談に乗ります。
e-mail:tanabe@e-tac.jp

軒先  O邸の現場より 【 DOMA / yamanote 】

  

O - houseは外壁構造用合板を張り始めている。
屋根も板金を葺き始めている。今日で終わったのかな。
板金職人さんは何度か仕事を一緒させ頂いているKaiくん。
非常に頼もしい職人さんだ。今日は彼のスケッチを
持ち帰り検討を加えたりしていた。


そもそもは工事前に一気に描き上げた詳細スケッチを
ベースに各ディテールは組み立てられている。


この軒先、凄いなー。絵には描けるんだけれど、
どう作るのかは彼の仕事を見て覚えもした。
フラットルーフの軒先端を出来るだけ薄く、通気できる
構造としている。JBCEKとは換気部材のこと。これを
野地合板に取り付けている。その前に捨て板金として
厚い折曲げ加工された支持部材が取り付けられている。
仕上げの板金はこれをつかんで終える。


空がまた一段と青く綺麗だった。