1年点検。

先日、帯広の住宅の1年点検であった。


竣工引渡後1年を目処とする点検なのだけれど・・・1年半以上が経過しているだろうか。
1年点検は機器の調子、仕上各所の具合、ドアや窓の建具類の具合等を確認して行く。
木造建築の場合は特に、構造が動く。これは木造である以上免れない。
例えばドアや窓等の建具類は強く影響を受けるかもしれない。
竣工の時期にも寄るのだけれど、冬季の暖房時期を挟んで翌年が良い頃合だと思う。
軸組構造の乾燥が進み、落ち着き始める頃。この住宅では引渡しから二冬を越した今、
調度良い頃合ではないかと思う。
点検はクライアントと施工者、設計者の私の3者で行った。
施工者は、十勝で建築するなら是非と思う、私個人としてはとても信頼を置く会社です。


不具合不備が幾つかあり、どう調整、修繕をするのかを取り組みまでを含め相談した。
この場所で今の現状をみて、バランスを考えての調整となる。
幾つかは直ぐ、幾つかは冬季を待って調整とした。
特に心配であった自分達で塗った珪藻土壁、これが綺麗で状態は良好、とても嬉しい。
私も参加した塗り仕事、しかし上塗りされているので私の痕跡はないのだけれどね。


床はかなり遠慮なく痛めつけられていて、これは生活痕なのだけれど無垢の床なので、
あと数年もすれば良く馴染むのではと思う。それまでは軽く塗装を施してと伝える。
そういえば床の木材の塗装は施主施工だ。クライアントのご主人が仕事の合間に、
塗ったもの。大変だったに違いない。


当時、クライアントにはハウスメーカーで住宅を建築する友人があり、言われたらしい。
「自分で床材を塗るってどういうこと?」
既製品で作られる家では手を加える余地は皆無。ローコストで建築した建築ではあるけれど、
この住宅では出来るだけ既製品ではなく「素材」を用いている。手間は掛かるけれど、
活きて来るのが今後、その差が明らかになる。竣工直後が一番美しく後は劣化する製品を
コーディネートされた住宅よりも、経年で情緒を膨らませる建築材料、素材は好ましいと思う。


床はきっと、傷が多く残るだろう。子供が居る家、それは当然の事だと思う。
それが傷ではなく情緒や風景と出来るのがとても良い。
この日は子供達には会えなかったけれど、楽しいだろう様は床を見れば想像は容易だった。
傷付く度に残念に思うよりも、その一つ一つが思い出になる方が楽しいと思う。
床材は後にヤスリ掛けすれば復活するし、珪藻土の壁は塗り重ねると味わいを増す。
そういう一歩を踏み出した家を点検した。



今年も桜の木に実がなっていた。時期を逃したのではと不安だったのだけれど、
酸味のあるサクランボはとても美味しかったです。ご馳走様でした。

動画?その手があったか!



届いた動画がかっこイイ! ←クリックで開く?
上手く貼れないので、リンクを。



『 Moai in ny 』のインテリア風景。
夕方、西の高窓からの陽射しがやや平行に、
室内に届きだした頃、壁で映える映像。


竣工の時は別の壁で同じような揺らめきを発見、
まるでインスタレーション!と驚き楽しんだ。


外の気配を室内に発見し、観察し、楽しまれる。
そんな様子がヒシヒシと伝わります。
いいなーコレ。

適度な距離にある適度な枝ぶりの木に適度な風を当て、
太陽光越しにその影の揺らぎを室内に映えさせる・・・
そんな窓を設計しました!


自然相手なので、これは再現出来そうな気がしない。

西日、眩しく印象的です。


引渡、御引越、住まい始めて一年を迎える。
オーナーから届く、日常の風景。


初めてお会いした時はお客様?
と言う分けではなかったかもしれない。
『不可能』とは言わなかっただけで、
計画の実現性に強く問題を提起した。
初めからお客様ではなく、
クライアントだったに違いない。


お客様とクライアントは全く違う。
事業を行う上でのパートナーだ、
コラボレーションだ。
後に施工者も加わり取組む事業だ。


その成果が届く。
オーナーしか知り得ない光景が。
今はオーナーなのだな、羨ましい。
設計者である私よりもたくさんの事を
経験し、知り、楽しまれている様子。



写真は西高窓、細長い建築の奥行きを
更に際無く奥へ伸ばす採光上重要な窓。
幸運にも敷地西には木立があり、
それが西陽を越して木立の影を、
その陰影として伴い室内に映える。
最早インスタレーション



徐々に北側へと沈む、低く長く届く西陽、
室内を舐めるように移動する。
木立の陰影を揺らぎながら像を届ける。


・・・好んで使うブラケット照明、
昼間は建築に溶け込み気配を見せない。
映える陰影の中でも見事に溶け込んでいる。
器具は案外、実はこういう性質が欠かせない。



室内に居ながらにして、外の風や雲の動き、
様々を映え気付かせてくれる。
これは何だろう?素直に凄い光景だ。


紆余はありつつ、健やかでもあり、しかし、
光環境はかなり複雑な様が支えている。


西高窓からの長い陽射し、北側高窓のもたらす
夕刻でも一際明るい様、室内に残る南窓の明るさ、
様々が組み合わされて見える光の空間。


・・・自然のみが作れる絶妙な光の具合。




久しぶりに書き込みます。
届いた写真、大好きです。

隙間

携わるある仕事がナカナカ終わらず、気忙しく、落ち着かず。
自分の仕事にも色々在りのだと、母校の学生達の初々しい取り組み、改めて設計とはと思い、
・・・設計にも色々あるのだと改めて実感してしまう。


ふと、落ち込みつつの夜更けに・・・

見つけたよ、オーナーに送って頂いた写真を。思わず、笑わずに居られない。
笑う?大いに元気を頂く!


好きだ、隙間。何て一生懸命なのだろう!!


彼は覗き込み、何を見つけたのだろう?

こういう写真もあった。貼って良いだろうか?
彼の覗いた隙間からぶら下げられれば、何でも喚起の餌になるぞ。
自分も、隙間から届きそうな、届かさなそうな餌がある。
それが届かぬかもしれないとしても、見つけたら喚起する。
見つけたら、何としてもと思う。


何としても。


・・・あの、これ、最後どうなったのだろう?

夕陽


「うわー」とご主人が発したらしいその光景が届く。
夕陽映える南壁はセルフ施工の苦心の作です。


西壁の高窓から差す西日が14m先の東側壁に映える。
その落差は約1mだろうか、6/100勾配程。
14m超の南壁面を一文字に照らす夕陽とは、
確かに声を出して驚く光景に違いない。
ご主人、ビックリしたんだろうな、休日の夕方に。


この日差しは年に二回、見られる機会があるだろう。
春と秋なのか。逆に東側の窓から差す時期も二回ある。
夕陽は生活時間帯で良く観察が出来る。
低く強く何より長く差し込むものでもあり、
気付けば驚くような印象的な光景を室内に作る。
設計者の自分がそれを観る機会は実際、乏しい。
住まわれる人のみが知る、特別な時間に違いない。



設計を終えた後にご主人を驚かす機会があったとは、
ちょっと嬉しい。

光。

そう言えば【 MoAi in ny 】のオーナーからも写真が届いていた。

お子様が光を追っかけて遊んでいたのだそうだ。
とても良い写真、見て笑ってしまった。


新しい家で「光」を発見したのだろうか。
映えているのは塗壁。光得て初めて質が現れ表情となる。
塗壁に映える光は実際、とても美しく、私もハッ!とする。
彼は何かを感じてくれるのだろうか?




おそらく午前11時30頃だろう。ダイニングテーブルの正面に陽が昇り、影を向かいの壁に落とす。


私は振り向く余裕がなく、でも、太陽が正面に来るのを待って写真を撮った。
ちょうどその時に居合わせたS工務店のO氏に「何枚撮るんですか?」と笑われた。
でも、待った甲斐はあると思っている。


影の写真、きっとオーナーは中央に来るまで待ったはず。
何気ない日常に喜びを見出せるなら素敵だと思う。

とある機会にて。



「話せる?」と聞かれ「はい。」と応えたのは3日前の忘年会の、酔った席でのことだった。
今仕事をご一緒させて頂いている同窓の、設備設計の大先輩に誘われ十数名の会合に参加する。
どのような会かも知らずに、ちょうど竣工写真の整理の出来た【 MoAi in ny 】を発表した。


人の前で話をするのは大変に勉強になる。


これまで未だ整理出来ていなかった核心を15分程の時間で話せるだけ整理する機会は、
即興ではあったけれどとても有意義だった。この様な場を作って下さった大先輩に感謝しつつ。