監理。

雲の無い朝焼けの、光と闇までのグラーデションが
爽快で思わず撮ってみた朝なのであるが。


取り組むお寺の設計、監理に入り既に2ヶ月だろうか。
プレカットのチェックは半ばを過ぎ、
サッシ(外部建具)の確認に入るも、かなり大変だ。


構造設計の入る設計では、構造の判断は構造設計者に
求める必要があり、実際に造る施工者、架構の要となる
プレカットに関わる人皆の理解が一致する必要がある。
設計者だけが知っていても実現は出来ないわけで、
きちんと伝え、また聞く作業から地道に理解を探り創る。


現場代理人はとても理解があり、大変に恐縮、助かる上に、
大工の棟梁は難題に顔を歪めずに笑うような方で頼もしい。
プレカットの図面製作者は懸命な方であった。


先日の定例でお会いした外部建具工事の担当者もまた
良い方であった。この設計では樹脂サッシを用いている。
コスト削減のために一般住宅用の樹脂サッシを選定して
いるのだけれど、これは実に特殊な形状の商品でもあり、
細部のデザインを求めなければ、これを勝手の良いもは
ないのではないかと思うほど都合がよい。


準防火地域にある建築は防火設備となるサッシも多く使う。
社会的に求められるサッシの断熱性能は過渡期にあり、
メーカー各社も新規製品を幾種も取り揃え、混乱期にある。
独特な形状と寸法体系の樹脂サッシ、これまでも懸命に
取り組んでは居て、連窓やチリや枠を見せない納まりを
工夫してきた事もあるだけに、出来る自信はあるものの、
幾種も組み合わせるこの設計では初めて使う製品もあり、
本当に難しい。


外部建具工事の担当者は通常はビル用を扱われる方だ。
ビル用のサッシや木製サッシの場合は寸法は明快で、
規格品はあっても寸法の自由度は高く、設計に沿うもの。
対して樹脂サッシは商品であるため、メーカーの都合が
優先されていて、それを起用に用いようとすると、
しかもそれが複数種を用いようとする、同じメーカーでも
混乱せずに居られないくらいに複雑。であるにも関わらず、
出会った担当者を本当に良く理解をされていて、
感心させられたのは連窓のための部材を既製品ではなく
製作で対応し、3種類にまで整理されていた。
樹脂サッシにここまで精通される方に初めて出会った。
メーカーの方よりも遥かに信頼は厚い。



で、水曜の定例の後、プレカットと構造図、そして意匠図
サッシのカタログと外部建具施工図を比較し眺め、
解を求めるべく取り組んでいるのだけれど、終わらない。
終われるのか?不安になるほど遠い。


おそらく世の中に、ここまで既成の樹脂サッシを駆使して
デザインする設計者は居ないだろうな。
コスト削減のためとは言え、大変過ぎる。