酔う。 ・ ・ ・ まもなく竣工後一年。   【DOMA/yamanote】



椅子とテーブルの揃った室内写真を撮らせて下さいと【DOMA/yamanote】を訪ねる。
ところが、ご好意に甘えてもてなされてしまうことに ・ ・ ・ なってしまった。
既にコートには2つの椅子が置かれ、挨拶もそこそこに誘われ、で、早速、ビール。




【DOMA/yamanote】はその名の通り山の手にあり、景観に恵まれたロケーションが魅力だ。
写真の”コート”は、ほぼ他人の視線がなく、気ままに空を楽しめるプライベートな空間。
「寛ぐ」とはこういうことを言うのだろうなーと感じつつ腰を下ろし、早速酔ってしまった。


春に植えられた木がスクスク育ち、荒れ過ぎず手入れし過ぎず絶妙な芝の具合といい、
広くはないものの伸びやかで健やかな姿となっていた。
クライアント御夫妻が自らイメージし、自ら手掛け、楽しまれている。







外で飲むには肌寒く室内に入る。クライアント自ら製作に加わり作られたテーブルには料理が。


「今日は和です。」


お皿といい、用意頂いた美味しい辛口の日本酒といい、グラスといい、飾りといい、そして料理。
奥様は本当に作ることがお好きな様子。なかなか座られずに次から次へと料理を出して下さった。


キッチンとダイニングテーブル、そこは特に大切にした空間。いったいどのような光景があるのか、
思案した設計の成果を確かめさせて頂ける真に貴重な機会に感謝します。
一緒に考えてきたクライアントは、一年もの間使いこなしてきた既にエキスパートであった。


ダイニングに座る人とキッチンに立つ人の位置、視線の関係はこれ以上のない絶妙なものに見える。


冷蔵庫、食器棚、家電棚の収まる収納室とキッチンとの関係、使われる奥様の術が実に素晴らしい。
冷蔵庫−食器棚−キッチン作業面を回転するように使う。キッチン作業面に立つと一歩右にガスコンロ、
一歩左にシンクがある。L=2700の大きなキッチンにも関わらず想像以上に動線が短い!


作業性や効率に加えて楽しい会話までもが達成され使われる光景を見て、心底安堵を覚える。








    


室内風景はプライバシーのため小さく案内。灯りはルイス・ポールセンの”PH5”。
エコを理由に蛍光灯やLEDとせず、ダイニングは贅沢にもやはり電球を灯したい。
空間の豊かさの質が違うものと確信している。


随分時間を掛けて悩まれ、購入に至った椅子はカンディハウスの定番。
営業の方からは噂は聞いていました。この椅子は手掛けの形状が絶妙で、
気が付くとずっと撫でている。背の具合も絶妙。






おそらく、椅子が心地良かったので長居してしまったのだと思う。
そして間違いなく、料理が美味しかったので、お酒が進み、酔ってしまったのだと思う。






    


ドマにあった鉢うえを撮る。いったい、自分は何を撮りに行ったのだろう?
この良い雰囲気を是非、写真に納めるべく、また訪ねたい。