敷地のはなし。その1【DOMA/道南の家】


先週末の帯広でのASJのイベントに貸し出していた、
DOMA/道南の家】のパネルが戻ってきた。
(梱包が悪くて枠が破損してたぞっ!Y様。)


この住宅は函館近郊に建つ住宅です。
函館山への眺望の素晴らしい風景の中に在ります。


イベントでこの住宅を紹介させて頂くと、
多くの方は、こんな敷地なら・・・とも。


函館山への眺望という意味では稀有に違いありません。
けれど、開かれた眺望は実は珍しくはないかもしれません。
郊外の農家の家などでは当然の、北海道的な風景でしょうか。


そのような田園風景にある住宅を眺め、
いいなーと思うか、寂しそうと思うか、
それは様々かもしれません。
春に書いた記事の風景は、
寂しげに見えるかもしれません。


敷地の個性、特性、可能性を引き立たせるのは、
設計においては最も最初に取り掛かるべき、
おそらくはその後を大きく左右する大切な事です。




DOMA/道南の家】の敷地は、このような具合です。
最初に出会ったのは冬の終わり頃でした。
その時の寒々しく荒涼とした様には驚きました。


まさか本当にここに住まわれるのでしょうか?
と、問い直したくなるような途方も無い世界でした。
恵まれた敷地とは案外、困難な敷地に違いありません。




DOMA/道南の家】、このように至りました。
全ての室内からはドマ越しに函館山を望む眺望があります。
正に、この”場所”に住む家を設計しています。




一枚目の写真は竣工時のもの、雪の早朝の写真です。
引渡しの翌日の、まだ人の住んだ事の無い家でした。


この写真は住まわれて3年目かな?の頃のものです。
訪ねるのが楽しみになっている、今の姿でもあります。






憧れるような風景の敷地も、その可能性を引き立たせる
設計無しには魅力にはなり得ないだろうと思います。


デザインやインテリアの設計に重きを置いてしまうと、
重要な事を見落とし、魅力が失せてしまうかもしれません。


建築、その設計とは、場所の持つ可能性を探求する事から
始まります。それ無しでは何かを大きく欠いてしまう。


DOMA/道南の家】は目の当たりにした荒涼ともいえる、
あの風景に果敢に挑んだ成果です。


そして、この場所を大いに楽しまれて住まうオーナーの、
如何にも楽しそうな様を実感する住宅に至っています。


建築には良き理解者であり、実際に創り、アフターも
含めて携わる施工者を加えて設計者と、オーナーによる
コラボレーションなのだと何時も実感します。