【DOMA/道南の家】 まもなく7年。

ピザ窯を作ったので遊びに来て下さい。
と便りがあり、訪ねたのは先週の事。
久しぶりとなる函館は約3年ぶりだろうか。
天候にも恵まれ、本当に気持ちが良かった。


函館山を望む風景は今も変わりがない。
訪ねたのはまもなく7年を迎える道南の家。

※この住宅の事は設計の時の事を詳細に
 ブログで書き綴っています。


相当に悩まされたこの風景は実に印象深い。
今は楽しい思い出、訪ねる機会は実に嬉しい。


手入れも行き届き、今も綺麗な建築です。


写真では分り難いのだけれど、軒先は手の届く
高さでもあり、外観は本当に小さく見える。
人は潜るような心持で建物に入り、室内では
長いドマに出会います。


ピザ窯の小屋他、倉庫に蕎麦打ちスペースの
ある事務所棟?やら、オーナーの趣味?設えが
まるで村のように並び展開していて驚きました。



以前にスケール感を案内した際の投稿、
アルテピアッツァの彫刻と並べているのが
この住宅。長くはあるのだけれど妻側外観は、
公園遊具のようなスケールで人に親しい。


オーナーの手作りの小屋などが展開する際、
建物も含め一体感のある風景が広がり、
感動してしまった。見事に生活を楽しまれる
風景は素晴らしい。


プライバシーもあり、写真の掲載は控えますが。




室内も状態宜しく、安心しました。
この梁は和室の障子枠ともなっている。
この梁の高さの設定は基本構造でもあり、
手の届く庇高さに影響する事もあり、
矩計図を何度も何度も描き直し求めたもの。


人が潜り通るのに支障のない高さであり、
人の座る和室では鴨居の様な存在になるため、
出来るだけ重心を低く出来る高さ・・・
この時の経験が今も設計に生かされている。



この住宅は長い北側ハイサイドライトがある。
ブログのタイトル画像がそれです。
細部にまでコストを掛ける事のできた住宅、
そのハイサイドライトの窓台のディテール写真。


この住宅には吐き出し窓となる南側ドマの
床から天井までの連窓と、カウンター上に
設けた換気窓と、ハイサイドライトがある。
考えてみると通常の窓のない家であった。


高窓(=ハイサイドライト)の窓台は、
やや傾斜させた薄いものをデザインしている。
埃乗りを少しでも防ごうという事と、
天空光を少しでも天井面へ反射させようと、
また、居住スペースからは台を意識させず、
線だけが見える程度にと考えたもの。


改めて眺めると初心を思わずに居られない。
非常に難しい納まりが達成できたのは、
施工して下さった工務店、特に担当者の
力量に負う所が大きい。


設計は絵が描ける。描いた絵を具現にするには、
施工者の理解と技術が絶対に欠かせない。
この住宅が健全に今も綺麗に在る事実は、
こういう細部にまで全力で取り組めた証。
そして、日頃大切に住まわれている
オーナーの気持ちなのだと思う。


ピザと腕を一段と上げられた既に商売が
出来そうな蕎麦と、満腹の訪問でした。
帰りに頂いた葱、これがまた美味しかったです!

どんより。


先日の函館の際、帰りに立ち寄った【DOMA/道南の家】
雪降る夕暮、昼間の光がどこから来るのかわからない、
悪天の暗い空だった。風景を見るに特に綺麗な黒い空。
田園の風景は様々な空を感じ眺める事ができると実感。



関係ないですが、こんな空を眺めて「どんより」が頭に
浮かぶと、かつて聞いたラジオの投書を思い出します。
「「どんより」を使って作文をしなさいという問いに、
「う”どんより”そばが好きだ」と解答したそうな。


・・・私も、どちらかと言えば蕎麦が好きです!






2月22日、23日はASJとかち帯広のイベントに参加します。
道東出身の私としては、やはり、懐かしさを覚える風景。
田園風景に住まう自然な勇気、カタチにしてみたい。
これは心から取組んでみたく、取組まなくてはと想う。
そのような機会を願い、期待して。

敷地のはなし。その1【DOMA/道南の家】


先週末の帯広でのASJのイベントに貸し出していた、
DOMA/道南の家】のパネルが戻ってきた。
(梱包が悪くて枠が破損してたぞっ!Y様。)


この住宅は函館近郊に建つ住宅です。
函館山への眺望の素晴らしい風景の中に在ります。


イベントでこの住宅を紹介させて頂くと、
多くの方は、こんな敷地なら・・・とも。


函館山への眺望という意味では稀有に違いありません。
けれど、開かれた眺望は実は珍しくはないかもしれません。
郊外の農家の家などでは当然の、北海道的な風景でしょうか。


そのような田園風景にある住宅を眺め、
いいなーと思うか、寂しそうと思うか、
それは様々かもしれません。
春に書いた記事の風景は、
寂しげに見えるかもしれません。


敷地の個性、特性、可能性を引き立たせるのは、
設計においては最も最初に取り掛かるべき、
おそらくはその後を大きく左右する大切な事です。




DOMA/道南の家】の敷地は、このような具合です。
最初に出会ったのは冬の終わり頃でした。
その時の寒々しく荒涼とした様には驚きました。


まさか本当にここに住まわれるのでしょうか?
と、問い直したくなるような途方も無い世界でした。
恵まれた敷地とは案外、困難な敷地に違いありません。




DOMA/道南の家】、このように至りました。
全ての室内からはドマ越しに函館山を望む眺望があります。
正に、この”場所”に住む家を設計しています。




一枚目の写真は竣工時のもの、雪の早朝の写真です。
引渡しの翌日の、まだ人の住んだ事の無い家でした。


この写真は住まわれて3年目かな?の頃のものです。
訪ねるのが楽しみになっている、今の姿でもあります。






憧れるような風景の敷地も、その可能性を引き立たせる
設計無しには魅力にはなり得ないだろうと思います。


デザインやインテリアの設計に重きを置いてしまうと、
重要な事を見落とし、魅力が失せてしまうかもしれません。


建築、その設計とは、場所の持つ可能性を探求する事から
始まります。それ無しでは何かを大きく欠いてしまう。


DOMA/道南の家】は目の当たりにした荒涼ともいえる、
あの風景に果敢に挑んだ成果です。


そして、この場所を大いに楽しまれて住まうオーナーの、
如何にも楽しそうな様を実感する住宅に至っています。


建築には良き理解者であり、実際に創り、アフターも
含めて携わる施工者を加えて設計者と、オーナーによる
コラボレーションなのだと何時も実感します。

タイル選び


とあるところに使おうとタイルを選んでいる。
幾つか候補を選んでみて、オーナーと相談、
ガラスをフロスト加工したものの印象が良い。


透明ガラスのモザイクに比べて表情は柔らかく、
どこかお菓子のような美味しそうなものに見える。


ツルツルに磨かれたものではなく、
手触りのある感触のあるものは、
味覚的な刺激もあるのかもしれない(?)


二つのメーカーから取り寄せたサンプルを眺めると、
そのフロスト加工の具合に差のあることがわかった。
若干ながら違う質感、比べて初めて分かる。


基本はやはり現物を確認することだと改めて。

手打ち蕎麦

もう始めて3年目になるとお話されていただろうか。
【DOMA/道南の家】のオーナーによる手打ち蕎麦、
また、ご馳走になってきてしまった。


蕎麦を湯がく姿は様になっていて、半ば厨房の如く。
実際に使われるキッチンの光景、眺めるのは嬉しい。
・・・取り出されてきた蕎麦が既に美しい。


蕎麦、美味い。お腹一杯なのに惜しんで卑しく、
つい手が伸びてしまい、少し恥ずかしかった。
次に訪ねる機会をどう作ろうか、思案している。









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見学。

先週、打ち合わせにて函館に行く。その際、
見学も兼ねて【DOMA/道南の家】を訪ねてきた。


夏に外回りを見たものの、随分ご無沙汰していました。
訪ねた日はちょうど竣工3年目、良い日であった。
しかもこの夜は泊めて頂いてしまった・・・。


この2年で習得された蕎麦打は一層磨きが掛かっていて、
束ねられた蕎麦、湯がく手際、盛られた様、その味わい、
あまりに見事で驚きました。ご馳走様でした。





設計者が自ら携わる建築空間で過ごすことは極稀なこと。
お言葉に甘え泊めて頂いたのだけれど、これは貴重な
体験である。寛がせて頂き、函館の夜景を眺め過ごし、
朝日で目覚め、朝靄の立ち上る雪のある初冬の姿を眺める。


と、いいつつ3回目かな・・・。たまにお会いすると
お話は尽きないですし、犬達と戯れ過ごす。



少しノイズの多い写真で恐縮なのだけれど、
強烈な朝日が差し込むドマ。陽の短いこの時期は
南側の窓から実に奥深くまで陽射しが届く。



気持ちの良い朝だった。

多灯

照明は自然光採光に次いで最も好きなデザインの一つ。
多くの場合、ダイニングの空間には明るさが欲しい。
どのように灯すのか?いつも悩む。


これは【DOMA/道南の家】のLDK空間。ガラスの美しい、
円筒の小口の輪が綺麗に光るリンブルグ社製の照明が
贅沢にも3つ灯る。
壁面を浮かび上がらせるブラケットも3つ灯る。


これらをベースにして間接照明を使い、空間を考える。
好きなルイス・ポールセンのPH5で創る間も大好き
なのだけれど、多灯する贅沢もまた捨て難い。






前回に記事としたエントランス・ホール、照明器具は
全てLED。照度も極力低く抑え、必要最低限の器具を
効果的に検討した。


住宅の場合、写真のように全灯することは想定しない。
あくまで撮影用です。実際にこれでは明るすぎるので、
好みに応じて好きな照明だけを灯し、
そのバリエーションを楽しみます。


DOMA/道南の家】のオーナーさん、何時ぞやは
間接照明だけの窓から夜景も見えるほの暗さを
楽しまれていました。あれはビックリする楽しさだった。